最新鋭の痩身マシンに応用されている、HIFU(ハイフ・高密度焦点式超音波)の技術とは、どのようなものなのでしょうか?皮下脂肪に作用する仕組みや技術開発の経緯、他の技術との違いなどを解説していきます。
HIFUはHigh Intensity Focused Ultrasoundの略で、通称“ハイフ”と呼ばれています。
超音波を集めて1点だけに照射する方法なのですが、この技術を簡単に説明すると、小学生の頃に理科で行った実験に例えることができます。晴れた日に虫眼鏡で太陽光を集めて、1点に光を集中させて紙を焦がします。この実験と同じように、体の組織の1点に超音波を集中させるわけです。体内の1点だけに集中して超音波を照射するため、表皮やそのほかの組織に影響はありません。
現在の医療では、体に傷をつけずにがん細胞だけにダメージを与えられる方法として主に前立腺ガンの治療法として使われています。この技術を美容痩身に応用し、余分な皮下脂肪だけに作用するよう調整した機器が登場。美容クリニックやエステ業界で注目を浴びています。
「切らない脂肪吸引」法として、新しい機器の開発などにより今も進化をし続けている注目の「HIFU(ハイフ)」。ですがクリニック業界ではその他にも、脂肪細胞を凍らせて破壊し体外へ排出する「ゼルティック」や、加熱と冷却を繰り返すことで脂肪細胞を破壊する「リポコントラスト」、超音波と高周波を組み合わせた「ウルティマアンサンブル」、薬剤の注入で脂肪を溶かす「メソセラピー」などの施術法が「切らない脂肪吸引」として取り入れられています。では、これらの切らない施術方法の代表として「キャビテーション」とHIFUにはどのような違いがあるのか、早速比べてみましょう。
総合すると…HIFUは「超音波のエネルギーが皮下脂肪に深くピンポイントに伝わる」
総合すると…キャビテーションは「超音波のエネルギーが皮膚表面に広く浅く伝わる」
美容医療の現場にウルセラやダブロが登場したのは21世紀に入ってからですが、実はHIFU(ハイフ)こと集束超音波治療には、長い歴史があります。まず、HIFU(ハイフ)研究者は、集束超音波を用いて周辺組織を傷つけることなく、牛の肝臓内にごく僅かな壊死領域を形成し、その成果を報告しています。
また、1950年代に入るとFry兄弟らがより精密な集束超音波を開発し、猫の脳に正確に限定した凝固壊死を形成できることを確認しました。その後、脳障害を治療するための最初の臨床応用を行っています。
そして20世紀末、米国インディアナ大学の半世紀にわたる研究の成果により、集束超音波で患部を局所的に加熱し、たんぱく質を変性凝固させる「超音波加熱凝固療法」が開発され、米国Focus Surgery社によって実用化されました。
Focus Surgery社の創始者は、直腸壁を通して集束超音波を照射し、尿道周辺の前立腺組織を加熱・凝固する焦点距離30mm、外径30mmの小型トランスデューサを開発し、臨床的有用性を示しています。
現在は、開発された臨床応用機器は良性の前立腺肥大症を治療する手段として医療機関で使用されています。
尿道内カテーテルを用いて体内に放射線源等を入れ治療する低侵襲(ていしんしゅう)治療と比較しても、切開や異物の埋め込みなどを必要としない超音波治療は、体に負担の少ない治療法と言えます。
そして21世紀以降、これらの優れた技術がウルセラやダブロなどのHIFU痩身機器の誕生へとつながっていくのです。
エステの広告で「ハイフ痩身」という宣伝を見かけることがあります。では、クリニックが行なうHIFU(ハイフ)痩身術とエステではどう違うのでしょうか?実は、医療機関以外の施設に「医療用のHIFU(ハイフ)機器」を置くことは許されていません。細胞や組織を破壊することは医師法に抵触するため、医師がいないエステで行われるのは「犯罪」になってしまうからです。
そのため、エステに流通しているハイフマシンは「同じメカニズムを用いている」だけであって、細胞が破壊されるほど温度が上がらないようリミッターが付いています。医療用のハイフマシンと比較すると「ジェットエンジン」と「扇風機」ほどの違いがあり、得られる効果にも天と地ほどの差があるのです。
組織や細胞が破壊されることがない分、解剖経験が全くないエステティシャンでも照射することが可能ですが、痩身の効果はほとんどありません。医療用のHIFU(ハイフ)機器は、解剖経験を持ち、重要な神経の走行などを熟知している医師のみが施術を行えるのです。また、HIFU(ハイフ)は照射自体に複雑な技術を必要とします。
キレイな仕上がりに導くためには、脂肪のつき具合やたるみのメカニズム、さらに顔全体のバランスをデザインするセンスも求められるのです。よって、「違法」ではありませんが、「効果がない」HIFU(ハイフ)をエステで受けることはおすすめできません。豊富な経験と技術力を備えたクリニックで、医療用のHIFU(ハイフ)痩身を受けるようにしましょう。
痩身効果が高いと評判のHIFU(ハイフ)ですが、持病や体調の状態によっては受けられない場合があります。そのため、以下の項目に当てはまる人は避けなければなりません。
超音波の熱やエネルギーを、皮下脂肪まで深く届けるHIFUの技術を応用したスリミングマシンは、いくつか開発されています。現在、クリニックなどに導入されているHIFUのマシンの種類をご紹介しましょう。
リポセルは、強力な冷却機能を搭載したHIFUマシンです。ヘッドの部分が摂氏5度まで冷却されるため、皮膚を冷やしながらHIFUを照射していくことが可能となっています。そのため、従来の機器と比較して、より脂肪層を高温に加熱することが可能となり、痩身効果が最大限に発揮できるようになっています。脂肪層の温度は上昇しますが、皮膚は強力な冷却機能によって守られているため、火傷のリスクも軽減され、また痛みも抑えられるのが大きな特徴と言えます。
美容クリニックで導入されている、HIFUのハイスペックマシン。最高で皮下2.5㎝前後まで照射できるほど高出力なので、取扱いが難しく医師の診察やカウンセリングが必要となります。施術中はチクチクとした痛みを感じることが多く、体質によっては内出血ができることがあるようですので、しっかりとカウンセリングをしてもらいましょう。クリニックによって異なりますが、1エリア(4.5×4.5㎝)で3万円前後の施術料となり、範囲に照射するとかなり高額な費用になる場合があります。
ダブロボディ(シーライン)は、他のHIFUマシンに比べてパワーを細かく設定できるのが特徴となっています。そのため、脂肪細胞を破壊するだけではなく、皮膚の再生を活性化させる効果も期待できる美容マシンとなっています。ヘッドの部分を変えることで、ボディだけではなくフェイシャル用としても活用でき、また1プッシュで16ショットを一度に照射できることから、1ショットずつ照射する他のマシンに比べ、少ない時間で効果が得られることが期待できる特徴も持っています。
HIFU(ハイフ)痩身するなら、
クリニックがおすすめ!
HIFU(ハイフ)による痩身施術を受けたい時は、クリニックを選ぶことがおすすめです。医療行為であることや、火傷などのリスクがあることをよく理解した上で、適切な美容外科を受診するようにしましょう。HIFU(ハイフ)による施術は、たとえ経験豊富な医師であっても合併症が起きてしまう場合があります。
しかしエステとは違い、医師は起きてしまった合併症に対し正しい対応をすることができるのです。
また、全てのエステ店に当てはまりませんがクーリング・オフを通知しても「全額返金はしない」「文句があるなら弁護士を出せ」などという事態に発展することが問題になっているようです。
そういったトラブルを避けるためにも、HIFU(ハイフ)痩身は適切な美容外科を選び、経験豊富な医師のもとで受けるようにしましょう。